2016年11月26日。約6年ぶりとなるファイナルファンタジーのナンバリングタイトル最新作「FINAL FANTASY XV」が発売されました。事前に作品の世界観を掘り下げるスピンオフ作品として映画「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」、アニメ「BROTHERHOOD FINAL FANTASY XV」も公開され、期待に胸を躍らせてゲームを手にした方も多かったと思います。今回はそんな「FINAL FANTASY XV」の感想を書いていこうと思います。
「映像がとにかく美しい」でも…
PlayStation®4(とXbox One)で発売された今作。私もPVの圧倒的な美しさに目を引かれ興味を持ちました。事前の映画でさらに興味を深め、子どもの頃以来の期待感ではじめてみました。オープンワールドで表現されたこのゲーム世界で、父と子、仲間との絆の物語がどのように完結を迎えるのか、ワクワクしながらプレイをスタート!期待通りの美しい世界が私を待ち受け、私の胸はワクワク感で子どもの頃のように高鳴りました。それが感動のラストへ続くと信じて・・・。
しかし、その期待は残念ながら裏切られてしまいました。
今回のFF15の評判は、正規に購入した海外ユーザーのフラゲによるネタバレと、その後の様々なユーザーの感想がネットで出回ったため、すでに多くの方がご存知だと思いますが、今回は私個人の視点での感想を書いていきます。個人的にネタバレがあっても面白いものは面白いと思えるタイプのため、今回も様々な評判を耳にしつつも事前の期待感を信じてみました。個人的には久々のファイナルファンタジーで、グラフィックの進化に圧倒されながらまあそれなりに楽しめた部分もありましたが、結論から言うとネットの意見が正しかったと思います。
「1つ1つのシーンは感動的」になりえたかもしれない
エンディングを終えて、ジャンルは全く違うのですが、何となく2004年に公開された紀里谷監督の映画「CASSHERN」を思い出しました。断片的な美しいシーンと宇多田ヒカルの音楽で、難解なテーマをストレートに説明する映画に、当時の私は1つのテーマのコマーシャルのバリエーションを連続で見ているような印象を受けました。(私はこの映画けっこう好きですし、この映画とFF15が同じということではありませんので悪しからずご了承ください)
今回のFF15も1つ1つのシーンはとても美しかったし、深堀して上手く表現できれば感動的になりえたと思います。
ここから先はエンディングについてふれていきます。それ程深く踏み込みませんがネタバレ回避の方はここから先はお読みにならないでください。
欲張りすぎでブレてしまったエンディング
(その悪夢は簡単には消えそうにありませんが)そこに至る過程を一旦忘れエンディングの(あの有名な)音楽が流れ映像を見たとき私は「今作はきっとこれがやりたかったんだな~」と思いました。ストーリー展開に対しての主人公たちののんびりした様子に疑問を持ちつつも、オープンワールドでゆっくりと旅を楽しんだ私としては、音楽にまつわるあのストーリーの記憶も相まって”その部分だけを切り離して見れば”それなりに良かったかなという気になりかけました。
しかし、その後に続くキャンプシーンは、そこに至る展開が???となってしまい、また長旅を通じても感情移入することができなかったキャラクターたちの会話で覚めてしまいました。
さらに、レギス国王の感謝の言葉から始まる主人公とヒロイン2人の挙式は、そこに至るまでの父と子の関係やヒロインとの関係の表現があまりに希薄だったこともあり、改めてとってつけたような印象を受けてしまいました。
事前の映像作品で期待した「父と子、仲間との絆の物語」の終幕がこれでは…。
中途半端に表現するくらいならテーマを絞って密度を濃くしてほしかった
今回のFF15は「FINAL FANTASY Versus XIII」を継承しナンバリングタイトルに変更したものですが、そのゴタゴタがそのままこの作品に投影されてしまったと思います。表現したかった内容もまったく異なるものを、キャラクターの姿形やパーツなどを中途半端に流用(いいとこどり)して消化不良をおこしてしまったことがとても残念です。
いっそのこともっと思い切って、仲間とわいわい楽しみながらオープンワールドを自由に冒険しながら、物語の真相に近づいていくような内容にしてしまった方が、やりたかったことをもっと深く表現できたと思います。1作目から1作ごとに作風を変え、新たなシステムを取り入れながら新しいゲーム体験を提供してくれたファイナルファンタジーだからこそ、今作でも新たにチャレンジしたオープンワールドでFFならではの新しい体験をできると期待しましたが、ストーリー同様システム面も突き抜けられなかったのがとても残念でなりません。
No Man’s Skyと並ぶ今年の2大PV詐欺作品
FFのナンバリングということや事前の美しいPVもあり今回はちょっと期待しすぎてしまったようです。もし万人におススメできる作品かと聞かれれば、迷わず「No Buy」と答えます。
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